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YouTube、はじめます。

2024.12.14
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YouTube、はじめます。

2024年12月8日、YouTubeチャンネル『ホビー不動産』をはじめました。

 

普段から不動産に関する情報発信を観たり読んだりする機会が多いのですが、個人的にあまり興味が持てるコンテンツに出会えた記憶がほとんどなく、これは自分で作るしかないと思ったのがきっかけです。

 

今回の記事では、YouTubeでの発信を通じてやっていきたいことをご紹介させてください。

発想を柔軟に、視野を広げる

YouTubeにもすでに、大手メディアの扱うものから個人YouTuberの発信まで、不動産に関する動画は数多く存在します。

ただその多くは資産価値の高い物件や、人気の街ランキング、儲かる不動産投資についてなどの資産形成や資産防衛に関するものや、業界の闇、極端にボロい、ヤバい、激安な物件などの情報が多く、自分が住んだり働いたりする空間として魅力的なものを取り上げるものは、比較的少ないと感じています。

一方、『渡辺篤史の建もの探訪』や『大改造!!劇的ビフォーアフター』、『ポツンと一軒家』など、住宅系のテレビ番組には長く愛されているものが多く、他人の物件を観るという行為には、一定のニーズがあるのだと思います。

 

それならばYouTubeでも、お金を儲けたいという欲を刺激したり、闇の暴露などで危機感を煽ったり、極端なタイトルに思わずクリックしたくなるような情報だけでなく、素敵な物件を素敵だなぁと眺めたり、その物件にまつわる方々のお話しを聞いたり、そんな情報発信がもう少しあってもいいのにな、と思いませんか?

自分にフィットする物件を探すには、様々な物件を見て、世の中にはどれだけ魅力的な物件が存在するのかを知り、視野を広げておくことがとても大切です。

「心の琴線に触れる」という言葉がありますが、「家は一生に一回の大きな買い物」、なんて言葉もあるような家探しにおいては、できれば自分の心の琴線に触れたものを手に入れた方が、生活のクオリティは高まりそうですよね。

 

不動産は大量生産のプロダクトと違って基本的に1点モノであるが故に、それを手に入れるチャンスは一期一会であることが多く、自分の「心の琴線に触れた」という感覚は、一目惚れを除けば他に比較対象となる物件が一定数ある方がより敏感に感じられます。

であれば、誰かにとってのスペシャル・ワンになり得る個性的な物件を数多く見てきた僕が、そうした物件をご紹介することに、意味があるのではないかと考えたわけです。

僕自身は、個性的な不動産をセレクトして仲介させていただく仕事を長く続けてきたため、おしゃれな物件は数多く見てきました。

ただ、空室の物件はただの物件。

「ドリルを買いにきた人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」というドリルの穴理論にもあるように、僕たちが求めているのはそこで叶えられる自分らしい暮らしや働き方であって、おしゃれな物件自体ではありません。

では、自分らしい暮らしや働き方ができる物件はどんな風に探せばよいのでしょうか?

 

物件を探すとき、多くの方は検索サイトを使い、予算や希望の沿線、間取りでソートした検索結果の中からいくつか内見して、「予算内だし、希望条件にも近いし、ここでいいか。」と決めると思います。

でも、その検索結果に表示された空室の不動産と、インテリア雑誌やルームツアー動画などで見かける、自分のライフスタイルに合ったおしゃれな暮らしをされている素敵な方々とはあまりうまく結びつかないのではないでしょうか。

物件探しをしていると、どうしても「空室の」おしゃれな内装の物件に目が行きがちですが、空室はあくまでも自分らしい暮らしを作るための土台でしかありません。

過去の仲介経験から様々なジャンルの素敵な方々を見てきましたが、個人的には物件の魅力と住まい手の個性が掛け合わさった時に、その物件がより輝いて見える感じがしています。

また、住むだけにとどまらず、店舗やアトリエ、シェアスペース、宿など用途を複合的にMIXしたユニークな暮らし方をされている方々との出会いからも、大きな刺激を受けることがあります。

「いつかお店を構えてみたい」という夢を、住まい方・働き方に対する発想の転換により「いつかではなく、今」叶えている方々がいることを知ることで、今の自分の人生が大きく変わるということだって実際に起き得ると思います。

 

そこでホビー不動産チャンネルでは、様々な観点で「自分らしく」暮らす、働く方々をご紹介して、どんな風に物件を探し、選び、自分にフィットさせているのかを学でいきたいと考えています。

実際に入居されてからの素敵な光景と、それが物件情報だったときの図面や写真を見比べるというのも、物件探しのヒントになるかもしれません。

そうした様々な事例をご紹介させていただくことで、視聴者のみなさんが物件を探す際の発想が柔軟になり、視野が広がるような動画を作っていければと思っています。

今求められる、不動産翻訳業

たとえば海外旅行をしたときや、海外映画を観たとき。海外の建物やインテリアと日本のそれを比べて、美しさやカッコよさが全然敵わないなと思ったことはないでしょうか。

戦争で焼け野原になったという事情も当然あるものの、新築信仰、コスパ新建材、価値を正しく査定できないローンの仕組みなど、日本では住環境を取り巻く様々な問題が山積し、海外のような住環境をつくるためのハードルは高く、道のりは遠いように感じます。

千里の道も一歩から。なんとかこの現状を変えたいと思ったときに、僕たちはどうすればよいのでしょうか?

 

ちょっと話が遠くなりますが、社会の変化が起きた参考事例として、コーヒーを例に話をはじめさせてください。

 

1990年代末頃にはまだ、コーヒーといえばマグカップに入れた粉をお湯で溶かして飲むインスタントコーヒーや缶コーヒーを飲む人が多く存在しました。

1996年にスターバックスが日本に上陸してから、そのゆったりとした店内の雰囲気も含めて、コーヒーが単なる飲料ではなくライフスタイルとともに語られるようになり、またコーヒー豆の品種や産地の違いが認識されるようになりました。

その後、ブルーボトルコーヒーが日本上陸する2015年前後から、生産者のトレーサビリティが重視され、コーヒー豆本来の個性やヒストリーを楽しむ趣味的な世界が広がり、サードウェーブコーヒーというカルチャーが誕生しました。

こうして、本来は飲料であったはずのコーヒーは、生活者のよりよい楽しみ方への気づきや目覚めを通じて、ライフスタイル、カルチャーへと世界観を深めていきました。

 

では、サードウェーブコーヒーの世界で豆ごとに異なる味わいの楽しみを知った生活者が、マグカップに粉を入れてインスタントコーヒーを飲むことはあるでしょうか?

絶対にないとは言いませんが、基本的にはあまりしないと思います。

つまり、コーヒーの楽しみ方にリテラシーがあるならば、リテラシーには不可逆性があり、一度上がったリテラシーは簡単には元に戻らないものだと言えないでしょうか?

このように、「生活者がある新しい、より心地よい価値観に気づいたとき、社会全体が一皮剥けたように次のフェーズに移行する」というのが、文明の進歩の基本的なかたちなのだと思います。

では不動産の世界は今、どのようなフェーズにあるのでしょうか?

リノベーションの台頭により、新築信仰やコスパ新建材を選ぶことから一歩先に進んだ生活者が一定数存在するのは間違いないと思いますが、まだそれが、社会全体が一皮剥けたといえるフェーズには届かない、といったところでしょうか。

多様な個性をもった不動産を扱ってきたホビー不動産のメンバーは、建物の内外装をリノベーションするしないだけではなく、不動産には人の心の琴線に触れるような様々な種類の魅力があることを知っています。

ロケーションの絶妙さ、差し込む光の美しさ、歴史を重ねた建物の味わい、住居に店舗やアトリエなどの用途が融合することによる新しい暮らし方の可能性など。

ホビー不動産の強みは、そうした多様な個性をもつ不動産への光の当て方や読解力、そしてそれを言語化し、現代の気分にフィットする適切な文脈にのせる能力です。

コーヒーカルチャーの変遷には、その面白さを解説するガイドたちがいました。

不動産カルチャーの成熟にも当然、そうした役目を担うガイドが必要であり、ホビー不動産はYouTubeチャンネルを通じて、そのうちの一員になれたらと願っています。

作り手の心に火をつけろ!

そしてもう1つ、不動産の世界を面白くしていくためにとても重要なことがあります。

それは、物件を作る建築家や工務店、現場監督、職人などの方々に、不動産に興味を持ってもらうことです。

 

彼・彼女たちはいわばインサイダー。設計や施工ができる能力がある方々が不動産に興味を持ち、自らが事業主となり魅力的な物件を作っていく世の中が来るとしたら、明るい未来しか想像できません。

不動産仲介の仕事は、仲介の対象となる魅力的な物件があってこそ。ホビー不動産も僭越ながら自ら不動産を作り出すこともしていますが、そうしたプレイヤーは増えれば増えるほどよいと思っています。

建築業界は長らくアカデミックな色彩が強く、某有名建築誌に難解な解説とともに掲載されることをよしとされてきた風潮がありますが、最近では建築家自身が不動産事業にまでコミットするような事例が増えてきていて、とてもいい流れだと感じています。

 

このチャンネルでは、そうした建築家が不動産領域に積極的に関わっているような事例もご紹介し、より設計・施工の方々が不動産に興味を持ってくれるような流れを作り出していきたいと思っています。

「内見家」が作る、不動産の新しい情報発信

僕たちは仕事柄、いろんな物件を巡るのが日常で、それも他の不動産屋さんと一緒にではなく、一人で物件を見に行くことができます。

ただ、不動産屋で働いていない皆さんは、当たり前ですが物件の中を見たいとなると不動産屋さんにコンタクトを取り、立ち会いのもとにしか見ることができないですよね。

コロナ以降急速にオンラインでのバーチャルな体験や購入が増えた世の中においても、やはりレンズを通した世界と、実際にその場に身を置き体感する世界では、情報の解像度や身体性がまだまだ格段に異なります。

実際に賃貸もしくは購入後にその場所で暮らし、もしくは仕事をする場としての不動産選びにおいて、この「体感する」という行為はとても有益で、体感値の蓄積が、不動産を読み解く力につながっていきます。

 

ただ、不動産屋さんに一度コンタクトをとると、その後の営業電話がうんざりで、って思いますよね。

そこでホビー不動産のYouTubeでは、不動産を偏愛し、1,000件を超える物件の内見をしてきた代表の室田が、不動産を愛でる『内見家(ないけんか)』として、様々なチャームポイントを持った物件や、その物件で暮らす・働く方々に光を当て、その魅力を解説していきたいと思います。

ご紹介するのは、今まで家や事務所を探すときはなんとなく検索サイトを開き、希望条件にチェックして検索していたという方が、検索では見つけられなかったような物件たちや、ユニークな発想を持つ入居者さんや大家さん、建築家さんや職人さんたち。

営業目的でやるわけではなく、「不動産の面白さをもっと多くの方に知ってもらいたい!」がモチベーションなので、ホビー不動産ではなく他の不動産屋さんが取り扱っている物件でも、いいものはいいので、お構いなくご紹介していきたいと考えています。

こんな物件情報、お待ちしてます!

YouTubeチャンネル『ホビー不動産』では、以下のような物件、入居者さん、大家さん、建築家・職人さんを取材させていただきたいと思っています。

 

■ ユニークなチャームポイントのある物件(デザイン性、希少性、味わい、緑・屋上・DIY可能などの特徴)や、それらを作った大家さん、建築家
■ 面白い暮らし方・働き方をしている物件(住居兼◯◯、シェア◯◯、二拠点・他拠点居住、別荘、宿、ユニークなオフィス・店舗・アトリエなど)
■ 自分らしい暮らし方やインテリアを楽しんでいる入居者さん

 

繰り返しになりますが、僕たちはYouTubeと仲介業は切り離して考えています。営業的な利益があるかどうかは関係なく、面白い物件や人を面白い!と言いたい。伝えたい。ただそれだけがモチベーションなので、不動産業者様からの撮影依頼も喜んでお待ちしております。

売買でも賃貸でも、あるいは売るつもりも貸すつもりもない物件でも、「目の保養になるような」空間を一緒に愛でて、楽しく観られて学びがあるようなチャンネルにしていきたいと思っています。

不動産の面白がり方を知って思考回路が柔軟になったり、自分が想像していなかったような物件にときめきを覚えたり、引越し先選びに今までよりもっとこだわりを持つようになったり。

ご覧いただく方々にそんな気づきを持っていただけた結果、一皮剥けたように、不動産の世界のフェーズが一歩先に進む。そんな未来を夢見てYouTubeチャンネルをはじめます。

 

ぜひ応援していただけたらうれしいです。ひとつよろしくお願いします。

 

▼撮影可能な物件情報はこちらよりお寄せください
https://tally.so/r/3N8olW

PICK UP
ホビー不動産の使いこなし方 −オーナー・設計事務所向け−
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賃貸物件のプロジェクトを行う場合、オーナー、設計事務所(工務店)、そして仲介業者の三者はチームを組むことになるのが一般的ですが、多くのプロジェクトにおいて、この三者が理想的な形でチームを組めておらず、それぞれの目的や利益が交わらないケースも多く見受けられます。

 

その原因と、理想的なチームの作り方について考察をしていきます。

自己紹介 〜なんで不動産屋になったんですか?〜
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こんにちは、ホビー不動産代表の室田 啓介です。

企業のホームページにはよく、「代表者ごあいさつ」といったコーナーがありますが、堅苦しいのはこのサイトに似合わないため、自己紹介を兼ねて僕の経歴と不動産を志した理由を、紆余曲折の人生をギュッと短く凝縮した読み物としてご紹介します。

『ホビー不動産』、はじめます。
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『ホビー不動産』WEBサイト、いよいよオープンしました。

不動産を偏愛する代表の室田が、なにを考えてこのサイトを作ったのか。サービスを通じてどのような世の中を作っていきたいのか。

「ホビー×不動産」が目指す世界観について語ります。